筋肉痛のはなし
□筋肉痛の原因
メカニズムははっきりとは解っていません。以前までは筋肉に乳酸という疲労物質が溜まることで筋肉痛が起こる原因と考えられていましたが乳酸は傷の修復促進など身体に必要なエネルギーとして再利用されているため、筋肉痛の直接的な原因には当たらないという認識になっています。
現在は、運動によって傷ついた筋線維を修復しようとするときに起こる痛みであるという説が有力となっています。
運動やトレーニングで普段使わない筋肉を突然使ったり、同じ筋肉を使いすぎたりすることで筋肉を構成している線維(筋線維)や周りの結合組織に傷がつきます。
損傷した筋線維を修復するために白血球を中心とした血液成分が集まり、このときに「炎症」が起き発痛物質(ブラジキニンなど)が生産され筋肉を包んでいる筋膜を刺激します。それが筋肉痛として痛みを感じます。
□筋肉痛の種類
〇早発性筋痛
急性筋肉痛とも呼ばれる、運動した直後や早ければ運動している最中に起こる筋肉痛です。激しい運動をして筋肉内で沢山エネルギーを生み出す際、乳酸菌も多く作られます。この時「水素イオン」も多く発生し筋肉を酸性に傾ける為痛みが起こると考えられています。
〇遅発性筋痛
運動して数時間から数日後に生じる筋肉痛。一般的に筋肉痛といわれるのは、この遅発性筋痛を指します。
遅発性筋痛になりやすいのが、下り坂を駆け下りたり、重い荷物を下ろしたりするなど、筋肉を伸ばしながら力を発揮する運動で起こりやすいです。
□筋肉痛を生み易い運動作業
・伸びながら力を発揮する(伸張性)運動 :重い荷物を下ろす、階段を下りるなど
特に筋肉痛になりやすいのが伸張性の運動です。筋肉を伸ばすときのほうが筋線維への負荷が大きくなるため、損傷が起こりやすくなるからです。階段を下りるとき、坂道を下りるとき、重いものを下ろすときなどは、ゆっくりとした動作を心がけましょう。
この他に筋肉収縮の運動には2種類あります。
・縮みながら力を発揮する(短縮性)運動 :重い荷物を持ち上げる、階段を上るなど
・伸縮なく力を発揮する(等尺性)運動 :腕相撲など
年をとると筋肉痛が遅く出る??
この話は皆さん聞いたことがあると思いますが年齢は関係ないとされています。筋肉痛が出るタイミングは“運動強度”に関係しているからです。
筋肉を「早く、強く」動かすことは、筋肉に大きな負荷がかかるので、損傷しやすくなり、比較的早く、筋肉痛が出てくる傾向にありますと言われています。一方筋肉のダメージが少なく損傷の蓄積がゆっくりの為ウォーキングなどの、「ゆっくり、軽く」動かす運動の場合は、それほど大きな負荷にはならないので、比較的遅く筋肉痛が出てくる傾向にある。
年をとってくると、筋肉を限界近くまで追い込むような運動はあまりしない為遅く筋肉痛がでると考えられています。
□少しでも早く筋肉痛を和らげたい
〇「熱を持っている時」のみ冷やす
急性期の痛みがひどい場合は、筋繊維がダメージを受けて炎症を起こしている状態なので、氷などで傷んだ部位をしっかり冷やします。
〇患部を温め血行を促進する
ひどい痛みが治まってきたら・・・
38〜40度のぬるま湯にゆっくりつかって軽くマッサージしたり、伸ばしたりしながらからだ全体を温めると、血行促進に効果的です。お風呂上がりには、無理のない範囲でストレッチを行いましょう。血行がよくなることで、筋肉痛が和らぎ、疲労回復にもつながります。
〇「ストレッチ」や「軽い運動」を行う
痛いからといってじっとしていると、血行が良くならず筋肉痛の回復につながりません。無理をしない程度に「ストレッチ」や「軽い運動」ウォーキングなどを行えば次第に血流は良くなります。
筋肉痛を早く治し疲労から回復させるためには、速やかな栄養補給が必要です。
おすすめは、良質で低脂肪のタンパク質(豆類・魚や鶏肉など)、糖質や脂質のエネルギー代謝やたんぱく合成に関わっているビタミンB群です。
ビタミンB群には豚肉・赤身肉・全粒穀物・ナッツ・大豆・カリフラワー・ほうれん草などがあります。二ンニクや玉ねぎ、ニラなど「アリシン」が含まれる食材と一緒に食べることで吸収率が上がり、疲労回復にも効果的です。