夏風邪のお話
6月末から8月にかけて流行するウイルス感染症を一般的に「夏風邪」と呼びます。
冬の風邪とは異なる性質を持っているので同じ対処法では治らず、むしろ症状が悪化するということもあります。夏風邪のウイルスの多くは高温多湿の環境を好みます。
〇夏風邪をひいてしまうきっかけとなる要因
・夏の暑さによる体力・食欲の低下
・クーラーによる屋内外の温度差
・冷たいものの飲みすぎ・暑さによる睡眠不足
・手や体を拭いたタオルで繁殖したウイルス
夏に流行するウイルスが強力で夏風邪が長引くというわけではありません。風邪が長引く原因は私たちの免疫力が関係しています。
免疫力は疲労、睡眠不足、ストレスなどで低下します。 夏はクーラーの効いた部屋と外の行き来で温度や湿度の差が体に負担になったり、日が長くなり外での作業、運動が長時間になったりで疲労が蓄積されていきます。また風邪のひき始めの症状が軽いので仕事や学校、買い物などにも出かけてしまう人が多いように思います。疲労、睡眠不足は免疫の力を弱めますので、ウイルスと免疫細胞の戦いが長引いてしまうのかもしれません。
〇夏風邪のウイルス
夏風邪の多くはアデノウイルスやエンテロウイルス属の一種であるコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどによって引き起こされます。これらは感染性が高く、主に口や鼻からの飛沫感染や直接接触によって広がります。
・エコーウイルスは発熱、頭痛、嘔吐、髄膜刺激症状、腹痛や下痢の症状があります。また、咽頭粘膜の小水疱が出現することもあります。
・コクサッキーウイルスは乳幼児に多いへルパンギーナの原因です。
ヘルパンギーナは強い咽の痛み・小さな水疱ができ手足口病などの疾患を引き起こすことがあります
・アデノウイルスは喉の痛みや目の充血などを引き起こすウイルスです。
プールを介して感染するプール熱はアデノウイルスによって引き起こされます。
乳幼児では肺炎や脳症を引き起こすこともあります。
□夏風邪にかからないようにするための対策
・発汗によって失われた水分の補給
夏は多く汗をかくため水分補給は重要です。こまめに水やスポーツドリンクを飲むことで脱水症状を防ぎ体温調節や代謝の正常化に役立ちます。
・汗と共に失われるミネラルの補充
ミネラルは発汗で失われていきます。ビタミンやミネラル、タンパク質を摂りバランスのいい食事を心掛け免疫力を高めましょう。また、冷たい飲み物・食べ物ばかり口にすると、胃腸に負担をかけてしまうので、ほどほどにしましょう。
・涼しい時間に適度な運動
適度な運動は体力やエネルギーを保つために大切です。日中の暑い時間帯を避け、涼しい時間帯に行うなど体調に合わせた運動を心がけましょう。
・暑くても眠りの質を下げない工夫
暑さにより眠れないため睡眠不足になりがちですが、眠りは体の回復に不可欠です。氷枕などで程よく後頭部を冷やすことで暑さの不快感を和らげましょう。十分な睡眠を確保し、休息を取ることで疲労を軽減できます。
・エアコンの設定温度
エアコンの温度設定を低くしすぎると外に出た時との温度が激しくなり、自律神経を乱す原因になってしまいます。温度差は5度くらいまでを目安とすると良いでしょう。温度管理ができない場所では直接エアコンの風に当たらないようにして、寒さを感じる時はひざかけやカーディガンなどで調節しましょう。
・タオルのこまめな取り換え
低温で乾燥を好む冬のウイルスに比べ、夏風邪のウイルスは高温多湿を好みます。飛沫感染と経口感染を防ぐために手洗いやうがいをしましょう。手や体を拭いた後の濡れたタオルからの感染を防ぐためタオルはこまめに取り換えるようにしましょう。