秋になると不調になる方
暑かった夏、ついつい冷たい物や水分を摂りすぎて胃腸を冷やしてしまうと、その働きが損ねられ秋になり気候が涼しくなってきた時「脾虚」や「水毒」といった体調不良が現れます。
脾虚とは
消化器系の機能低下に相当します。「脾胃」は食べ物から気や血を生成しますが、冷たい飲食物の摂り過ぎはその機能を弱らせます。脾虚になると「気」を生成する力も低下し、体全体のエネルギーが不足して「気虚」と呼ばれる状態が生じます。 この状態は疲労感が強くなり、免疫力も低下します。
水毒とは
漢方では、体内に溜まった余分な水分や湿気を「水毒」と呼びます。 冷たい飲み物などの過剰摂取で脾胃の機能が低下し、余分な水分をうまく排出できなくなると、体内に「水毒」が作られることがあります。水毒があると、体内の気や血の流れもスムーズに行かなくなり、「気滞」や「瘀血」という気血の停滞も発生してきます。これらは身体的な不調や感情面の不良を引き起こしたりします。
□陰陽のバランスの崩れ
夏に冷たいものを摂り過ぎると、体の熱が損なわれ「陰陽」のバランスが崩れます。特に体の「陽気」が損なわれ、冷え性や免疫低下が進みやすくなります。これにより、秋の季節の変わり目に体が温度調整に苦労し、体調不良が現れやすくなります。
□秋の体調不良を防ぐための漢方的対策
胃腸を労わる生活を心掛ける
〇冷えて弱まった胃腸を回復させるために消化に優しい食事を心掛け、内臓の機能をサポートしましょう。
・冷たい物を控え温かい飲み物をこまめに摂る
・一度にたくさん食べない
・腸内環境を整える発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)などを摂る
〇温める食材の摂取(冷たい物は控える)
脾胃を温め水毒を排出するために、体を温める食材を意識的に摂ることが重要
例)根菜類(ゴボウ、ニンジン大根など)、温かいスープやお茶など
〇利水作用のある食材
水毒を取り除くためには、塩分を控え利水作用(余分な水分を排出する)のある食材も有効
例)ハトムギ(ヨクイニン)、冬瓜、きゅうりなど
〇適度な運動や半身浴
気血の巡りを良くし胃腸を強化するために、ウォーキングや軽い運動を日常的に行ったり、半身浴で体を温めるなどで体内の滞りを防ぐことが大切です。
〇鍼灸や漢方薬
東洋医学的な治療として鍼灸や漢方薬も体調を整えるのに効果的
脾胃の機能を強化し、水毒を除去する処方がよく用いられます。